融資とは?ローン・借入との違いと種類、期間と返済方法の選び方
融資とは何かを、ローン・借入・貸付・ご融資との違いから整理。公庫・制度融資・保証付き・プロパー融資と、証書貸付・手形貸付・当座貸越の違い、融資期間と据置期間、元金均等・元利均等の返済額の試算、金利の最新動向、ファクタリングとの違いと使い分け、公的な相談先までまとめました。
「銀行の担当者に『ご融資』『証書貸付』と言われたけれど、意味がよくわからない」「融資とローンや借入は、何が違うのだろう」。創業して間もないころは、銀行とのやり取りで出てくる言葉に戸惑うことも多いはずです。わからないまま話が進むと、返済の負担を見誤るおそれもあります。
当サイトは、ファクタリング会社を第三者の立場で比較し、融資を含めた資金の集め方を中立に整理しているメディアです。本記事では融資の意味と、ローン・借入・貸付との違い、融資の種類、融資期間と返済方法による負担の違いを、会社や個人事業主が事業資金を借りる場面に絞って整理します。
最後に、売掛金を売って資金をつくるファクタリングとの違いと使い分け、迷ったときの相談先まで確認できる構成です。
融資とは返す約束をして事業のお金を借りること
融資とは、銀行などの金融機関や日本政策金融公庫が、返してもらう約束でお金を貸すことです。ここでは、会社や個人事業主が事業のお金を借りる場面に絞って説明します。借りた側は、決めた期間のうちに利息をつけて返します。出資や補助金と違い、返す義務があるのが一番の特徴です。
法律では消費貸借や貸付けと呼ばれる
「融資」は実務や日常で使う言葉で、民法や銀行法、貸金業法といった主な法律には、融資そのものを定める規定はありません。法律では、お金を貸す行為を「貸付け」、お金の貸し借りの契約を「消費貸借」と呼ぶのが決まりです。
民法第587条は、消費貸借を、借りたのと同じ種類・量の物を返す約束をして、お金などを受け取る契約と定めています。契約書を交わして借りる場合は、第587条の2により、お金を受け取る前でも合意だけで契約が成り立ちます。つまり融資を受けると、法律上は借りた額を返す約束をしたことになるわけです。
出資や補助金とは返す義務があるかどうかが違う
融資と出資、補助金の大きな違いは、返す義務があるかどうかです。
- 融資:返す義務がある。利息もかかる
- 出資:原則として返さない。株主の発言権が増える
- 補助金:原則として返さない。使い道などの条件がある
中小企業診断士の松林伯尚氏は、金融機関は貸したお金が利息も含めて返ってくれば会社の経営にまで口を出さない一方、出資を受けると会社に「モノいう権利」を持つ人が増えると説明しています。経営の決定権を手放さずにお金を集められるのが、融資の利点です。
融資を受けると返済と利息の義務が生まれる
融資を受けると、決めた日に元金と利息を返す義務が生まれます。利息は契約で決めた分だけかかり、利息制限法により、100万円以上の元本なら年15%を超える部分は無効です。期日より早く返すこともできますが、契約によっては繰上返済の手数料がかかります。
担保や保証人を求められることもありますが、社長の個人保証がいつも付くわけではありません。金融庁の集計では、2025年度に民間金融機関が新たに行った融資の件数のうち、55.7%が経営者保証に依存しない融資でした。
融資・ローン・借入・貸付・ご融資の違い
融資・ローン・借入・貸付・借金は、どれも返す義務のあるお金の貸し借りを指し、中身は同じです。違うのは、貸す側と借りる側のどちらから見た言い方か、どんな場面で使うかです。
中身は同じで立場と場面によって呼び方が変わる
民法・貸金業法の条文や日本銀行の統計、財務諸表等規則、日本政策金融公庫の案内では、次のように使い分けられています。
| 言葉 | 誰から見た言い方か | 主に使われる場面 |
|---|---|---|
| 融資 | 貸す側 | 金融機関の案内、事業資金の話 |
| ご融資 | 貸す側(丁寧語) | 金融機関がお客に向けた案内 |
| 貸付け・貸出 | 貸す側 | 法律の条文、日本銀行の統計 |
| 借入(借入金) | 借りる側 | 決算書の科目、返済の計画 |
| ローン | 両方 | 住宅ローンなど商品の名前 |
| 借金 | 借りる側 | 日常の会話 |
たとえば決算書では、借りたお金は「短期借入金」「長期借入金」という科目で負債の部に載るのが一般的です。銀行の担当者が「ご融資」と言うのも、決算書の「借入金」も、同じお金の貸し借りを指しています。
融資は事業用でローンは個人用という区別は法律にない
「融資は事業用、ローンや借入は個人の生活用」という説明を見かけることがありますが、法律で決まった区別ではありません。実際、日本政策金融公庫は事業資金だけでなく、個人向けの国の教育ローンも「教育資金に関するご融資」と呼んでいます。
事業の話では「融資」、個人向けの商品では「ローン」と呼ぶことが多い、という程度の使い分けだと考えておけば十分です。言葉の違いより、金利・期間・返し方・担保や保証人の条件を確かめることのほうが大切です。
突然届くご融資の案内は貸金業の登録を確かめる
電話やダイレクトメールなどで突然「ご融資できます」と案内が届いたら、すぐに返事をせず、相手が登録を受けた業者かを確かめましょう。金融庁は、違法な業者が「低金利で融資」「即日融資」などの言葉で誘い込むと注意しています。
銀行・信用金庫・信用組合・日本政策金融公庫など、法律で別に認められた金融機関以外の貸し手(貸金業者)は登録が必要で、金融庁の登録貸金業者情報検索サービスで確かめられます。日本貸金業協会は、正規の貸金業者が融資を前提にお金の支払いを求めることはないとしているので、保証金などを先に払うよう求められたら応じないでください。
融資の種類は誰が貸すかとどう貸すかで分かれる
融資の種類は、誰が貸すか(貸し手)と、どう貸すか(貸し方)の2つの軸で整理すると、全体像をつかみやすいでしょう。貸し方については、日本銀行の統計でも、銀行の貸出を手形貸付・証書貸付・手形割引・当座貸越に分けて集計しています。
貸し手は公庫・制度融資・保証付き・プロパー
事業者がよく使う融資を、貸し手と保証のしくみで分けると次の4つです。
| 種類 | 貸すのは | 特徴 |
|---|---|---|
| 公的融資 | 日本政策金融公庫 | 創業時によく使われ、期間や据置の上限が公表されている |
| 制度融資 | 民間の金融機関(自治体と信用保証協会が関わる) | 条件がある程度決まっており、入金までは時間がかかりやすい |
| 保証付き融資 | 民間の金融機関(信用保証協会が保証) | 金利とは別に保証料がかかる |
| プロパー融資 | 民間の金融機関が単独で | 保証料はかからないが、審査は厳しめ |
制度融資は、J-Net21によると、自治体・信用保証協会・金融機関が連携して進めるため、入金までの時間が長くかかります。また中小企業診断士の半田幹雄氏は、プロパー融資は金融機関がすべてのリスクを負うため審査が厳しく、創業間もない会社には使いにくいと説明しています。保証付き融資でも、保証協会が代わりに返したあとは保証協会への返済が続き、借金は消えません。銀行での申し込みの流れは、銀行からお金を借りる方法で詳しく紹介しています。
証書貸付は契約書を交わして長期で分割して返す
証書貸付は、金銭消費貸借契約証書という契約書を交わして借りる方法です。設備資金や数年かけて返す運転資金に多く使われ、毎月の分割で返していくのが一般的な形です。
返済期間が長くなるほど毎月の負担は軽くなりますが、利息の合計は増えます。公庫のような固定金利の融資では、期間が長いほど金利が高く設定されることが多く、比較的大きな中小企業向けの日本政策金融公庫の中小企業事業では、基準利率(2026年10月1日実施)が貸付期間5年以内で年3.20%、10年以内で年3.70%です。期間と返し方の違いは、次の章で数字を使って比べます。
手形貸付は短期の運転資金向けで紙の手形の廃止に注意
手形貸付は、借りる側が金融機関あての約束手形を差し入れて借りる方法です。1年未満の短い運転資金に使われることが多く、期日にまとめて返すほか、同じ額で借り直す「書換継続」をする場合も少なくありません。
ただし全国銀行協会は、電子交換所での紙の手形・小切手の交換を2027年3月31日で終えると決めています。4月1日以降も手形がすぐに使えなくなるわけではありませんが、扱いは金融機関ごとに変わる可能性があり、最終の振出期限を設けて手形・小切手での支払いを原則できなくした金融機関もあります。手形貸付の扱いは金融機関ごとに違い、京都信用金庫のように電子記録債権(でんさい)を使う貸付を用意している例も見られるため、手形貸付で借りている会社は、今後の扱いを取引先の金融機関に確かめておきましょう。
当座貸越は決めた枠の中で必要なときに借りて返す
当座貸越は、当座預金にあらかじめ決めた限度額(枠)を設け、その範囲で必要なときに借りて返す方法です。入金と支払いの時期のずれを埋める、つなぎの資金として使われます。決算書では短期借入金に含めて扱います。
便利な半面、金利はほかの貸出より高めです。日本銀行の統計では、2026年8月末に残高がある国内銀行の貸出の平均金利は全体で年1.510%に対し、当座貸越は年2.050%でした。なお、受け取った手形を期日前に金融機関に渡して現金にする手形割引も、貸金業法では貸付けの一種として扱われます。
融資期間と返済方法で毎月の負担が変わる
同じ額を借りても、融資期間(借入期間)と返済方法によって、毎月の返済額と利息の合計は変わります。借りる前に、毎月いくら返すことになるのか、全部でいくら利息を払うのかを試算しておきましょう。
融資期間はおおむね1年を境に短期と長期に分かれる
融資期間は、借りてから返し終えるまでの期間です。日本銀行の統計では、契約したときの期間が1年未満の貸出を短期、1年以上を長期としています。決算書では、決算日から1年以内に返す分は流動負債(短期借入金や「1年内返済予定の長期借入金」など)、それより先に返す分は固定負債(長期借入金)に分けて載せます。
期間の上限は、お金の使い道によっても変わるので注意しましょう。たとえば日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金では、設備資金が20年以内、運転資金が10年以内です。長く使う設備のための資金ほど、長い期間で借りられるようになっています。
据置期間は元金の返済を待ってもらう期間
据置期間は、元金を返さずに利息だけを払う期間です。公庫の新規開業・スタートアップ支援資金では、返済期間のうち5年以内の据置期間を設けられます。創業直後で売上が立つまで時間がかかる場合などに使われます。
ただし据置は返済の先送りで、返す額が減るわけではありません。後で紹介する1,000万円・年2%・5年の例では、1年の据置をつけて残り4年を元金均等で返すと、利息の合計は約51万円から約61万円に増えます。据置が明けた月の返済額も、据置なしの初回(約18万円)より高い約22.5万円になるので、その時期の売上の見通しと合わせて決めてください。
元金均等と元利均等で毎月の返済額と利息が変わる
主な返済方法は、毎月同じ額の元金を返す元金均等返済、元金と利息の合計を毎月同じにする元利均等返済、期日にまとめて返す一括返済です。1,000万円を年2%・5年(60回)で借りた場合を、説明用の例として計算しました(日割りや端数処理は考えていません)。
| 返済方法 | 毎月の返済額 | 利息の合計 |
|---|---|---|
| 元利均等返済 | 毎月 175,278円 | 516,656円 |
| 元金均等返済 | 初回 183,333円→最終回 166,944円 | 508,333円 |
| 5年後に一括返済 | 利息のみ毎月 16,667円、最終回に元金 | 1,000,000円 |
全国銀行協会の教材のとおり、金利と回数が同じなら元金均等のほうが返済総額は少なくなりますが、初めの返済が重くなります。毎月の額が一定で計画を立てやすいのは元利均等です。一括返済は毎月の負担が軽い分、期日に大きなお金が必要になります。
なお年2%は、2026年8月に国内銀行が新たに貸した長期の貸出の平均(年1.999%)に近い値です。創業間もない会社が公庫から無担保で借りる場合の基準利率は年4.05〜5.65%(2026年10月1日現在)なので、元利均等なら利息の合計はこの例の2〜3倍の約106万〜150万円になります。
金利は上がる方向にあるので時点を確かめて比べる
融資の金利は上がる方向にあります。日本銀行は2026年9月18日に政策金利を1.25%程度へ引き上げると決め、2026年9月の日銀短観では、借入金利が上がったと答えた中小企業が下がったと答えた企業を大きく上回りました。金利を比べるときは、何年何月時点の数字かを忘れずに確かめましょう。
たとえば日本政策金融公庫の国民生活事業の基準利率は、無担保で税務申告を2期終えた方の場合、2026年10月1日現在で年4.05〜5.65%です。帝国データバンクの試算では、借入金利が0.25%上がると、借入のある約16.8万社の平均で年46万円の利息が増えます。借りる額と期間は、金利が上がっても返せるかで決めてください。
融資とファクタリングの違いと使い分け
融資はお金を借りて返す取引で、ファクタリングは売掛金を売って期日前に現金にする取引です。費用は一般に融資のほうが低く、ファクタリングは入金までの早さが強みです。まずは融資を検討し、間に合わない場合にファクタリングを比べる順番で考えましょう。
融資はお金の貸し借りでファクタリングは売掛金の売買
金融庁は、ファクタリングを、事業者が持つ売掛債権を期日前に手数料を差し引いて買い取るサービスで、法的には債権の売買(債権譲渡)契約だと説明しています。主な違いは次のとおりです。
| 比べる点 | 融資 | ファクタリング |
|---|---|---|
| 取引の中身 | お金の貸し借り | 売掛金の売買 |
| 返す義務 | 借りた側にある | 原則なし(売掛先が払う) |
| 主に見られる相手 | 自社の返済能力 | 売掛先の信用力 |
| 使える金額 | 審査で決まる借入額 | 持っている売掛金の範囲 |
| 決算書での扱い | 借入金(負債)が増える | 売掛金が減る(負債は増えない) |
ただしファクタリングの手数料は、売却損などとして費用に表れる点に注意してください。売掛先が払わなかったときに売主が買い戻すなど、実態が貸付けと変わらない取引は、名前がファクタリングでも貸金業に当たるおそれがあり、会計上も借入れと同じ扱いになることがあります。
費用は年率に直して融資の金利と比べる
ファクタリングの手数料は1回ごとの割合で示されるため、年率に直すと融資の金利と比べやすくなります。たとえば、60日後に入金される100万円の売掛金を手数料10%で売ると、受け取れるのは90万円です。この10%を年率に直すと、単純計算で約61%になります。
同じ90万円を年2%の融資で60日借りた場合の利息は約3,000円で、公庫の基準利率(年4.05〜5.65%)で計算しても約6,000〜8,400円です。数字は計算のための例で、実際の手数料や金利は会社や条件によって異なる点に気をつけてください。元信用金庫の融資担当の篠田佳希氏が監修した辻・本郷 navi の記事(2025年12月26日公開)も、短い期間で10%の手数料を払うファクタリングは、年率に直すと売掛金を担保にした融資よりかなり高い負担になると注意しています。
間に合わないときは日数と返済の見通しで選ぶ
同じ記事は、数日以内に資金が必要な緊急の場合はファクタリングを優先し、支払期日まで1か月以上の余裕があり、利益をできるだけ削りたくない場合は売掛金を担保にした融資(ABL)を選ぶのが賢明だとしています。まずは入金日と支払日を並べ、何日・いくら足りないかを確かめましょう。
すでに返済が苦しいなら、中小企業診断士の石井浩一氏が勧めるように、高金利の資金に手を出す前に金融機関へ返済条件の変更を相談する方法もあります。ただし同氏は、経営改善計画のともなわない条件変更は勧められないとしています。
ファクタリングを使う場合は、実態が貸付けの偽装ファクタリングでないかを確かめてください。金融庁は、次のような取引に注意するよう呼びかけています。
- 買取代金が、売掛金の額に比べて著しく低い
- 売主が集金を任され、集金できなかった場合に売主が債権を買い戻す
- 同じく集金できなかった場合に、売主自身のお金で業者に払う
契約書にノンリコース(買戻しなし)と書いてあっても、実態で判断される点に注意が必要です。融資との違いの詳細は、ファクタリングと銀行融資の違いの記事も参考にしてください。
迷ったときは公的な窓口に無料で相談する
どの方法がよいか迷うときや、業者の対応に不安があるときは、次の公的な窓口に相談できます。0120以外の番号は、通話料が必要です。
- 日本政策金融公庫 事業資金相談ダイヤル:0120-154-505(平日9時〜17時)
- よろず支援拠点:経営の悩み全般(各都道府県に設置)
- 商工会・商工会議所:地域の経営相談
- 金融庁 金融サービス利用者相談室:0570-016811(平日10時〜17時)
- 日本貸金業協会:0570-051051(業者の登録の確認や相談)
- ファクタリングの被害:東京ファクタリング被害対策弁護団、金融庁の多重債務相談窓口
- 脅しや違法な取立て:警察相談専用電話 #9110
公庫のダイヤルは、創業前後の方や個人企業・小規模企業の方なら平日19時まで受け付けています。よろず支援拠点は国が設けた窓口で、何度でも無料で相談できます。
まとめ
融資とは、金融機関や日本政策金融公庫から事業のお金を借り、決めた期間で利息をつけて返すことです。ローン・借入・貸付は立場や場面で呼び方が違うだけで、中身は同じです。種類は貸し手と貸し方で分かれ、期間や返済方法で毎月の負担と利息の合計が変わります。
借りる前に返済額を試算し、金利が上がっても返せるかを確かめましょう。間に合わないときの手段は、ファクタリング会社の比較で費用と契約内容を確かめてから選んでください。