中小企業のファクタリング|規模より調達額で決まる対応社数
中小企業がファクタリングを使えるかは会社の規模では決まりません。掲載209社を主な取扱金額帯で集計し、100万円未満に対応するのは17社・その53%が高手数料帯という供給の偏りを公開。小口で不利を減らす4つの打ち手と、調達額から当たり先を逆算する表までまとめました。
「大企業向けのサービスではないか」「うちの規模では相手にされないのではないか」。資金繰りの相談に踏み出す前に、そんな迷いが先に立つ経営者は少なくありません。中小企業がファクタリングを考えるとき、最初につまずくのは適格性の不安です。
結論から言えば、会社の規模そのものが利用の可否を決めることはありません。判断の中心にあるのは、売掛先が期日に支払えるかどうかです。規模が効いてくるのは別のところ、資金化したい金額を通じた選択肢の広さです。
当サイトはファクタリング209社を第三者の立場で比較し、利用者401人への口コミ調査(2026年3月実施)を行っています。掲載各社の登録情報を金額帯で集計し直し、小口でも不利にならない当たり方まで整理しました。
中小企業向けという商品区分はない|見るのは売掛先
ファクタリングに「中小企業向け」という商品の区分はありません。会社の規模で扱いが分かれているのではなく、判断の中心にあるのは売掛先が支払えるかどうかです。
ここを取り違えたまま情報を集めると、自社の決算内容や従業員数ばかりを気にして時間を失うことになるでしょう。まず、規模と審査の関係を切り離しておきます。
中小企業基本法の定義は国の施策の対象範囲
「中小企業」という言葉には法律上の定義があります。中小企業基本法第2条第1項が、業種ごとに資本金の額または常時使用する従業員の数で範囲を定めたものです。両方を満たす必要はなく、どちらか一方に当てはまれば該当します。
| 業種 | 資本金・出資の総額 | 常時使用する従業員数 |
|---|---|---|
| 製造業・建設業・運輸業その他 | 3億円以下 | 300人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| 小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
同条第5項は「小規模企業者」も定めており、こちらは従業員がおおむね20人以下、商業またはサービス業では5人以下が目安です。
注意したいのは、条文が「この法律に基づいて講ずる国の施策の対象とする中小企業者は、おおむね次の各号に掲げるものとし、その範囲は…施策ごとに定める」と書いていることです。つまりこの数字は、補助金や公的融資といった国の支援制度が誰を対象にするかを決めるためのものにすぎません。民間のファクタリング会社がこの基準で審査しているわけではないのです。
審査の判断材料は自社の決算より売掛先の支払能力
ファクタリング会社が買い取るのは、あなたの会社そのものではなく売掛債権です。買い取った後、その代金を最終的に払うのは売掛先になります。だから見られるのは、売掛先が期日に支払えるかどうかです。
融資が借り手の返済能力を見るのに対し、債権の買取は回収先の支払能力を見ます。判断の向きが逆になると考えると分かりやすいでしょう。
ただし、自社がまったく見られないわけではありません。売った債権が本当に存在するか、すでに他社へ譲渡していないか、といった点は確認されます。請求書や契約書、その取引先との入出金の記録を求められるのはそのためです。
審査がないのではなく、見ている対象が違うのです。そう理解しておくと、過度な期待も不安も持たずに済みます。売掛債権として認められる要件は売掛債権とは、法人が使える債権の条件は法人ファクタリングの使える条件と手数料で扱っています。
商品を分けているのは規模ではなく取扱金額帯
では、ファクタリング会社は何を基準に商品を分けているのでしょうか。当サイトが掲載している209社の登録情報を見ると、区分けの軸になっているのは主に扱う債権の金額帯です。
金額帯は3つに分かれます。少額はおおむね100万円まで、中額は100万円から1,000万円まで、高額は1,000万円以上です。「中小企業向け」「大企業向け」といった規模による棚分けは存在しません。
この違いは実務に直結します。自社が中小企業基本法上の中小企業に当たるかどうかを調べても、申し込み先の候補は1社も絞れません。絞れるのは「今回いくら資金化したいのか」という一点です。
そして次章で見るとおり、この金額帯によって選べる会社の数と手数料の傾向は大きく変わります。規模が結果を左右するとしたら、それは審査の可否ではなく、調達額を通じた選択肢の広さとしてです。
規模が効いてくるのは金額帯|掲載209社の内訳
中小企業がファクタリングで実際にぶつかる壁は、審査に落ちることではありません。調達したい金額が小さいほど、対応する会社の数が急に減ることです。
掲載209社を横並びに集計すると、供給の偏りがはっきり見えてきます。
資金化できる上限は売掛債権の額
そもそもいくらまで資金化できるのか。ファクタリングの上限は、融資のような与信枠ではなく、譲渡できる売掛債権の額で決まります。
手元の請求書が500万円分なら、そこから手数料を引いた金額が受け取れる上限です。複数の請求書をまとめれば合計額が母数になります。
将来発生する債権も譲渡自体は可能ですが、実務で扱える会社は限られます。まずは確定した請求書がいくらあるかを数えるところが出発点です。
そのうえで、会社ごとに扱える金額帯が決まっています。希望額がその範囲に入っているかを確かめる必要があり、範囲を超えるなら債権を増やすか、複数の会社に分けて相談することになります。複数社を使うときの注意点はファクタリングは他社利用中でも乗り換えできるで扱いました。
少額帯に対応する会社は209社中17社にとどまる
主に扱う金額帯で209社を分けると、供給は高額側に厚く、少額側に薄いという形になります。
- 高額(1,000万円以上)99社 / 47.4%
- 中額(100万〜1,000万円)83社 / 39.7%
- 少額(100万円まで)17社 / 8.1%
- 金額帯の公表なし10社 / 4.8%
100万円未満を資金化したいとき、正面から対応しているのは17社です。ところが100万円を超えた途端、候補は83社へと約5倍に広がります。同じ会社が同じ請求書を持って相談しても、金額が数十万円違うだけで当たれる相手の数が変わるということです。
残る10社は取扱金額帯を公表していません。この10社は問い合わせてみないと分からない層なので、候補から外すというより「確認が1手増える相手」と考えておくとよいでしょう。
金額が小さいほど手数料の高い会社に偏る
選択肢が減るだけなら、まだ話は単純です。困るのは、少額帯に残った会社が手数料の高い側へ偏っていることです。
| 主な取扱金額帯 | 低手数料帯(上限平均2%) | 標準手数料帯(2〜5%) | 高手数料帯(5〜20%) | 公表なし | 計 |
|---|---|---|---|---|---|
| 少額(100万円まで) | 1社(6%) | 7社(41%) | 9社(53%) | 0社 | 17社 |
| 中額(100万〜1,000万円) | 20社(24%) | 42社(51%) | 21社(25%) | 0社 | 83社 |
| 高額(1,000万円以上) | 43社(43%) | 35社(35%) | 21社(21%) | 0社 | 99社 |
| 金額帯の公表なし | 0社 | 0社 | 0社 | 10社 | 10社 |
| 合計 | 64社 | 84社 | 51社 | 10社 | 209社 |
少額帯は半数以上が高手数料帯に入り、高額帯ではこの偏りが逆を向きます。金額が大きいほど条件のよい会社に出会いやすいという関係が、社数の分布としてそのまま現れています。
背景にあるのは、1件あたりの手間が債権の金額に比例しないことです。調査データではなく一般的な傾向にもとづく推定になりますが、売掛先を調べ、契約を交わし、入金を管理するという作業量は、債権が50万円でも5,000万円でも大きくは変わりません。金額が小さいほど、その手間の分が料率に乗りやすくなるわけです。
手数料の内訳をどう読むかはファクタリング手数料の見方と相場で扱っています。
少額対応は関東に集中し近畿では見当たらない
少額帯の17社を所在地で見ると、地域の偏りも重なります。
- 関東 8社
- 東北 2社
- 北海道 2社
- 中部 1社
- 九州・沖縄 1社
- 所在地の登録なし 3社
気になるのは近畿です。209社全体では近畿に26社がありますが、少額帯に限ると1社も見当たりません。中国も同様で、四国は掲載社そのものがありません。
面談や書類の持ち込みを前提に「近くの会社」から探すと、大阪や神戸の小口事業者は候補がほとんど残らない計算になります。地方で小口の資金化を考えるなら、所在地ではない別の軸から探し始めたほうが早いということです。その軸については次章で触れます。
業種ごとの資金化額から当たる層が決まる
自社がどの供給層に当たることになるのかは、業種からもある程度あたりが付きます。当サイトの口コミ調査(2026年3月実施・N=401)で、業種別に最も多かった資金化金額帯は次のとおりでした。
| 業種 | 回答数 | 最も多い金額帯 | 該当する供給層 |
|---|---|---|---|
| 建設業 | 183件 | 500〜1,000万円(70件) | 中額 83社 |
| サービス業 | 107件 | 100〜300万円(61件) | 中額 83社 |
| 製造業 | 35件 | 500〜1,000万円(14件) | 中額 83社 |
| 小売業 | 34件 | 100〜300万円(19件) | 中額 83社 |
| 運送業 | 26件 | 500〜1,000万円(13件) | 中額 83社 |
主要5業種はいずれも、最も多い金額帯が中額に収まりました。実際に動いている金額の中心は100万円から1,000万円のあいだで、ここには83社が対応しています。17社しかない少額帯に当たる必要が出てくるのは、単発の小さな請求書を1枚だけ資金化したい場面に限られます。
裏を返せば、100万円に届かない案件を抱えているなら、そこが今回の交渉でいちばん不利になりやすい条件です。少額帯に対応する会社を確認するところから始めて、条件が折り合わなければ次章の工夫を検討してみてください。
小口で不利を減らす4つの打ち手
少額帯の条件が厳しいことは、そのまま受け入れるしかない前提ではありません。申し込み方を変えるだけで、当たれる相手の数と料率の水準は動きます。
ここでは実際に手を打てる4つの方法を挙げ、最後に調達額から逆算して当たり先を絞る表にまとめます。
複数の請求書をまとめて1件の債権にする
最も効果が大きいのは、資金化する債権を100万円の線より上に持っていくことです。前章のとおり、この線をまたぐと候補はおよそ5倍に広がり、手数料帯の分布も高い側から標準側へ移ります。
前章で見たとおり、1件あたりの手間は債権の大小であまり変わりません。同じ手間で扱う債権を大きくすれば、料率に乗る固定的な負担は薄まります。まとめ方は2通りです。
- 同じ売掛先に対する複数月分の請求書を束ねる
- 支払期日が近い複数の売掛先の請求書をまとめて相談する
ただし後者には注意点があります。審査は売掛先ごとに支払能力を見るため、信用の見立てが弱い取引先を混ぜると、その分が全体の条件に響くことがあります。束ねるなら、支払いが安定している取引先から組み合わせるほうが結果は読みやすくなるでしょう。
手数料は率ではなく差引後の入金額で比べる
小口では、料率の比較だけで会社を選ぶと判断を誤りやすくなります。金額に比例しない費目の重みが増すからです。
見積書を受け取ったら、次の項目を足し合わせて手元に残る金額で並べてみてください。
- 買取手数料(債権額に対する料率で示される部分)
- 事務手数料・審査料などの固定額
- 債権譲渡登記を使う場合の登録免許税と司法書士報酬
- 振込手数料
- 面談や出張が必要な場合の実費
このうち債権譲渡登記は、買い取った債権の権利関係を法務局に記録しておくための手続きです。こうした1件いくらで決まる費目は、債権が50万円でも500万円でも同じ額がかかります。
つまり料率が低い会社でも、固定額の費目が重ねられていれば手取りは逆転しうるということです。会社を絞り込む手順そのものはファクタリング会社の選び方で3段階に分けて説明しています。
オンライン完結型を探す起点にする
少額帯を探すときは、地元の会社を当たるより先にオンライン完結型を見たほうが効率的です。対応方式の分布が金額帯によってはっきり違うためです。
表に出てくる2社間は、売掛先に知らせずに利用者とファクタリング会社の2者で契約する方式を指します。3社間は売掛先の同意を得て3者で契約する方式です。
| 主な取扱金額帯 | オンライン完結 | 2社間 | 3社間 |
|---|---|---|---|
| 少額(100万円まで・17社) | 11社(65%) | 9社(53%) | 5社(29%) |
| 中額(100万〜1,000万円・83社) | 21社(25%) | 67社(81%) | 52社(63%) |
| 高額(1,000万円以上・99社) | 32社(32%) | 61社(62%) | 79社(80%) |
1社が複数の方式に対応するため、横の合計は各金額帯の社数を上回ります。少額帯では3社に2社がオンライン完結に対応しており、中額帯の4社に1社と比べて明らかに厚い層です。前章で見た「近畿に少額対応が見当たらない」という偏りも、所在地を条件から外せば影響を受けにくくなります。
ひとつ誤解しないでほしいのは、オンライン完結は申込から契約までの手続きが画面上で済むという意味であって、審査の基準がゆるいという意味ではないことです。提出する書類の中身は対面の場合と大きく変わりません。
入金の速さは小口のほうが有利に働く
小口は条件面で不利ばかりかというと、そうでもありません。資金化までの速さでは、むしろ少額帯のほうが恵まれています。
| 主な取扱金額帯 | 最短2時間 | 即日 | 翌日以降 | 公表なし |
|---|---|---|---|---|
| 少額(100万円まで・17社) | 3社(18%) | 14社(82%) | 0社 | 0社 |
| 中額(100万〜1,000万円・83社) | 3社(4%) | 62社(75%) | 18社(22%) | 0社 |
| 高額(1,000万円以上・99社) | 7社(7%) | 52社(53%) | 40社(40%) | 0社 |
| 金額帯の公表なし(10社) | 0社 | 0社 | 1社 | 9社 |
目を引くのは、少額帯に翌日以降の会社が1社もないことです。金額が大きくなるほど売掛先への確認や債権譲渡登記といった手続きが挟まりやすく、そのぶん時間がかかるためだと考えられます。
つまり小口の取引は、料率では不利になりやすい一方、時間では有利に働くという構図です。今日中に資金が必要という場面なら、この特性は交渉材料になります。
ここまでの4つを、調達したい金額から逆に引ける形で一枚にまとめました。見積もりを取る前に、自社がどの行にいるかを確かめてみてください。
| 資金化したい金額 | 主に対応する会社数 | 手数料帯の偏り | 探す起点 | 不利を減らす一手 |
|---|---|---|---|---|
| 100万円未満 | 17社 | 高手数料帯が53% | オンライン完結型 | 複数の請求書を束ねて100万円台に乗せる |
| 100万〜1,000万円 | 83社 | 標準手数料帯が51% | 2社間と3社間の両方 | 売掛先の同意を得られるなら3社間も検討する |
| 1,000万円以上 | 99社 | 低手数料帯が43% | 3社間を軸に比較 | 売掛先への確認や登記にかかる日数を見込む |
| 金額を決めていない | — | — | — | 先に必要額と期日を確定させる |
一般に2社間より3社間のほうが手数料は低くなる傾向があります。売掛先に知られてもよい取引かどうかで選択肢は変わるので、そこは自社の事情で判断してください。条件から候補を絞るなら金額帯と手数料帯で掲載209社を絞り込むと早く進みます。
公的支援の枠を減らさない使う順序
中小企業には、大企業にはない資金調達の道があります。信用保証協会の保証を付けた融資や、日本政策金融公庫の制度融資です。費用だけを見れば、こちらを先に当たるほうが有利です。
ただし判断の軸はもうひとつあります。その手段が将来の枠を食うかどうかです。ここを意識すると、順序の決め方が変わります。
信用保証の枠には法律上の上限がある
信用保証協会の保証は、いくらでも積み増せる仕組みではありません。制度を裏側で支える保険に、法律で上限が定められているためです。
中小企業信用保険法第3条第1項は、普通保険について「中小企業者一人についての保険価額の合計額が二億円」を超えられないと定めています。中小企業等協同組合や協業組合、商工組合などの場合は4億円です。担保を提供しない無担保保険は、同法第3条の2第1項で8,000万円が上限とされています。
これは日本政策金融公庫と信用保証協会のあいだで結ばれる保険の上限であり、そのままあなたの会社の保証限度額になるわけではありません。実際にいくらまで保証を受けられるかは、制度の種類や協会の判断によって決まります。それでも、枠が有限であることは制度の前提として条文に書かれているのです。
すでに枠が埋まってしまった場面での立て直し方は、信用保証協会の枠が埋まった中小企業のファクタリング活用で3つの選択肢に整理しています。
ファクタリングは保証枠を消費しない
ファクタリングは売掛債権の売却なので、借入金にはあたりません。したがって信用保証協会の枠を使いません。この違いを表にすると、順序を考える材料が見えてきます。
| 手段 | 保証枠の消費 | 主な費用 | 資金化までの時間 | 返済義務 |
|---|---|---|---|---|
| 信用保証付融資 | する | 利息と信用保証料 | 金融機関と協会の審査期間による | あり |
| プロパー融資 | しない | 利息 | 金融機関の審査期間による | あり |
| ファクタリング | しない | 手数料 | 掲載209社では即日対応が最多 | 原則なし |
表にあるプロパー融資とは、信用保証協会の保証を付けずに金融機関が直接貸し出す融資のことです。また、ファクタリングの返済義務を「原則なし」としたのは、償還請求権が付く契約では売掛先が支払わなかったときに利用者が肩代わりする形になるためです。この論点は償還請求権とはで詳しく扱っています。
順序の考え方はこうなります。時間に余裕があり、枠にも余裕があるなら、費用の安い公的支援から当たるのが自然です。一方で、近く設備投資や大型受注のために保証枠を残しておきたいという事情があるなら、目先の入金の遅れは枠を使わない手段で埋めるという選び方も成り立ちます。
どちらが正解かは、この先1年の資金計画しだいです。
再生局面では公的な相談窓口が先になる
ひとつだけ、順序を考える前に立ち止まってほしい場面があります。資金繰りの苦しさが入金までの時間差ではなく、構造的な赤字から来ている場合です。
売上そのものが費用を下回っている状態では、売掛金を前倒しで受け取っても手数料の分だけ資金は目減りします。翌月には同じ不足が、少し大きくなって戻ってくるだけです。金融庁も、手数料が高額なファクタリングの利用が多重債務につながる危険を注意喚起しています。
この局面で先に当たるべきなのは、事業の立て直しを支える公的な窓口です。
中小企業活性化協議会は、各都道府県に置かれた事業再生の支援機関です。経営の立て直しに向けた計画づくりや、金融機関との調整を支援しています。詳しくは中小企業活性化協議会との併用で整理しました。
契約内容に不安があるときや、貸付けではないかと疑われる取引を持ちかけられたときは、弁護士や最寄りの消費生活センター、国民生活センターに相談してください。判断の手がかりは違法ファクタリング業者の見分け方にまとめています。
スタートアップが追加で確認する3点
創業から日が浅い会社には、中小企業一般とは違う事情があります。決算の実績が乏しいことは債権の買取ではさほど障害になりませんが、代わりに取引の構造そのものが審査結果を左右しやすくなるのです。
創業期に確認しておきたい点を3つに絞りました。
- 売掛先が1社に偏っていないか
- 創業期の公的融資と役割が重なっていないか
- 毎月の継続利用が常態化していないか
売掛先が1社に偏ると審査は通りにくい
ファクタリングで見られるのは売掛先の支払能力です。この性質は、創業期の会社にとって追い風にも向かい風にもなります。
追い風になるのは、自社の決算実績が問われにくい点です。設立1期目でも、大手企業や官公庁との取引で発生した売掛金なら、債権としての評価は自社の若さと切り離して行われます。
向かい風になるのは、売掛先が少ないときです。取引先が1社しかなければ、その1社の評価がそのまま結果を決めます。相手も創業間もない会社だと、支払能力を判断する材料が双方に乏しく、話が前に進みにくくなります。
この構造を踏まえると、創業期にできる備えは2つです。取引先を増やして債権の選択肢を持つこと、そして取引の記録を最初から残しておくことです。契約書・請求書・入出金の履歴がそろっていれば、実績の短さを取引の確かさで補えます。
申込時にどんな資料が要るかはファクタリングの必要書類にまとめました。
創業期の公的融資とは役割が重ならない
創業期の資金調達では、日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」が選択肢に挙がります。対象は「新たに事業を始める方、または事業開始後おおむね7年以内の方」で、融資限度額は7,200万円です。適正な事業計画を立て、それを進める力があると認められることが前提になります。
この制度とファクタリングは、埋める穴が違います。公庫の融資は設備投資や当面の運転資金をまとめて確保し、長い時間をかけて返していくものです。対するファクタリングは、すでに確定した売上が入金されるまでの時間差を埋める短期の手段にすぎません。
したがって「どちらかを選ぶ」という関係ではなく、事業の土台は融資で作り、月々の入金のズレはファクタリングで調整するという組み合わせが現実的です。出資による調達や、成長段階の企業向けの融資まで含めた比較はファクタリングとベンチャーデットの比較で扱っています。
継続利用は資金繰りの構造問題を覆い隠す
最後に挙げるのは、創業期にこそ気をつけたい点です。毎月同じように売掛金を売り続ける状態が続くと、手数料が実質的な固定費に変わっていきます。
入金の前倒しは一度きりなら時間を買う取引ですが、繰り返すと買った時間は増えません。翌月も同じ前倒しをしなければ回らない状態になり、そのたびに手数料だけが積み上がります。
本筋の解決は、資金繰りそのものの設計を変えることです。売掛先との支払サイトを短縮できないか交渉する、着手金や中間金を受け取る契約形態に変える、回収サイクルの長い取引の比率を下げる。こうした手当てが進めば、ファクタリングに頼る頻度は自然に下がります。
継続して使う場合の枠の管理や、いつ卒業するかの考え方はファクタリング利用枠の管理と継続契約戦略で詳しく整理しています。
よくある質問
ここからは、中小企業の経営者から寄せられることの多い疑問への回答です。
従業員5人の会社でも利用できますか
従業員数はファクタリングの利用条件になっていません。中小企業基本法上は従業員5人以下の商業・サービス業は小規模企業者に分類されますが、これは国の支援制度が対象を決めるための区分であり、民間の債権買取の基準ではありません。
実務上の影響が出るとすれば、資金化する金額が小さくなりやすい点です。掲載209社のうち100万円未満に正面から対応する会社は1割に届かないため、金額が小さいほど選べる相手は限られます。
設立半年で決算書がなくても申し込めますか
決算書がそろっていない段階でも申し込みは可能です。買取の判断は売掛先の支払能力と債権の確かさを中心に行われるため、自社の決算実績は融資ほど重く扱われません。
代わりに求められるのが、その取引が実在することを示す資料です。請求書、業務委託契約書や発注書、通帳の入出金履歴などが該当します。必要書類は会社ごとに異なるので、申込前に一覧をもらって確認してください。
50万円だけ資金化したいときはどうなりますか
50万円は少額帯にあたり、掲載209社のうち正面から対応しているのは17社です。しかもこの17社のうち9社は高手数料帯に登録されています。
打ち手は2つあります。ひとつは複数の請求書をまとめて100万円台に乗せ、83社が対応する中額帯へ移ること。もうひとつは、少額帯の3社に2社が対応しているオンライン完結型から探し始めることです。
中小企業向けと明記した会社を選ぶべきですか
掲げている言葉ではなく、公表されている取扱金額帯で見るほうが実務的です。掲載209社を集計しても、商品を分けている軸は会社の規模ではなく債権の金額帯でした。
「中小企業向け」という表現は、対応できる金額の下限がどこにあるかを教えてくれません。確かめるべきは、自社が資金化したい金額がその会社の取扱範囲に入っているかどうかです。なお取扱金額帯を公表していない会社も10社あり、この場合は問い合わせて確認する手間が1つ増えます。
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まとめ
中小企業だからファクタリングを使えない、という制約はありません。判断の中心は売掛先の支払能力にあり、資本金や従業員数は利用条件になっていないからです。
規模が結果に効いてくるのは金額帯です。掲載209社のうち100万円未満に対応するのは17社で、その半数以上が高手数料帯に入ります。100万円を超えると候補は83社へ広がります。
まず決めたいのは、今回いくら資金化するのかという一点です。最適な選択は資金繰りの状況・売掛先・金額によって変わります。金額が固まったら、調達したい金額から候補を絞り込むところまで進めてみてください。