リスケ中の会社がファクタリングを使うときの注意点
銀行融資のリスケ(返済条件変更)中でもファクタリングは利用できます。メインバンクへの説明の目安、経営改善計画との整合、債権譲渡登記の見え方を一次情報で整理し、先に使える公的制度と契約前の確認9項目まで示します。
銀行融資の返済条件を変更してもらっている(リスケ中の)会社にとって、追加の資金調達はほとんど道が閉じたように見えるのではないでしょうか。新規の銀行融資はリスケを解消するまで原則として受けられず、公庫の追加融資も通りにくい局面が続きます。結論から言うと、ファクタリングは借入ではなく債権の売買なので、リスケ中でも利用できます。ただし、先に確認したい公的な制度があり、順番を間違えると手数料の負担が経営改善計画の利益計画を崩しかねません。
当サイト「ファクタリング会社の口コミ」は、ファクタリング約209社を第三者の立場で比較し、利用者の口コミ調査(2026年3月実施・N=401)を公開しています。本記事では、国税庁・中小企業庁・法務省・金融庁・e-Gov法令検索の一次情報にもとづいて、リスケ中に特有の4つの論点を整理します。ファクタリングより先に使える制度は何か、取引銀行にどう説明するか、経営改善計画との整合をどう取るか、債権譲渡登記は金融機関からどこまで見えるのか、の4つです。読み終えるころには、自社の状況で何を先に動かせばよいかを判断できるようになります。仕組みの基本から知りたい方はファクタリングとはを先にお読みください。
結論: リスケ中でも使えるが、先に確認したい制度が3つある
リスケ(リスケジュール、返済条件の変更)とは、銀行融資の返済期間の延長や毎月の返済額の減額に金融機関が合意する措置です。当初の返済が難しくなった会社が、経営改善計画と引き換えに条件変更を受ける仕組みです。この状態では調達手段が次のように絞られます。
| 調達手段 | リスケ中の扱い | 補足 |
|---|---|---|
| 新規の銀行融資・追加借入 | 原則として難しい | 条件変更の経緯と計画の進捗を見られる |
| 公庫の追加融資 | 原則として難しい | 返済中の借入の条件変更が先に論点になる |
| ビジネスローン | 断られやすい | 借入なので負債と返済負担が増える |
| ファクタリング | 原則として可能 | 可否は自社ではなく売掛先の信用力で決まる |
| 国税の換価の猶予・納税の猶予 | 要件を満たせば可能 | 追加の資金は出ないが支出を後ろにずらせる |
そのうえで、ファクタリングに申し込む前に確認したい制度が3つあります。国税や社会保険料の支払いが苦しいなら「換価の猶予」、計画そのものを立て直すなら「中小企業活性化協議会」、計画づくりの費用が重いなら「経営改善計画策定支援」です。いずれも、手数料を払って資金化する前に確かめておきたい制度です。後の章で要件まで整理します。
なぜ借入ではないのに使えるのか
ファクタリングは法律上「債権譲渡」にあたります。民法466条1項は「債権は、譲り渡すことができる」と定めており(e-Gov法令検索・民法)、売掛金を売って資金化する取引は借入ではありません。負債が増えず返済義務も発生しないので、リスケ中であっても契約そのものを妨げる事情はないと考えられます。
また、融資ではないため信用情報機関(CIC・JICC・全国銀行個人信用情報センター)への照会・登録も原則として行われません。一方、個人保証付きの法人融資の条件変更では、代表者個人の信用情報に記録が残る場合があります。信用情報の記録は、CICなら契約終了後5年、全国銀行個人信用情報センターの官報情報なら決定日から7年が保有期間の目安です。詳しくは個人信用情報とファクタリング審査で整理しています。
審査で見られるのは自社ではなく売掛先
ファクタリング会社が回収するのは売掛先からの入金です。したがって審査の中心は、赤字や条件変更の履歴ではなく「その売掛金が期日に支払われるか」になります。これが融資との決定的な違いで、リスケ中でも道が残る理由です。審査で評価されやすいのは次のような条件です。
- 売掛先が上場企業・公的機関・規模の大きい企業である
- その売掛先との取引が継続しており、入金の実績がある
- 請求書・通帳の入金履歴など取引の実在を示す書類が揃う
- 経営改善計画を策定済みで、資金繰り表を出せる
- 税金・社会保険料の納付を続けている
契約方式は、売掛先に知らせず自社とファクタリング会社の2社で契約する2社間と、売掛先の承諾を得る3社間に分かれます。当サイト掲載209社のうち、2社間に対応するのは138社、3社間に対応するのは138社(対応形式を公表する201社ベース)で、どちらの方式も選べる供給はあります。方式ごとの違いは2社間と3社間の違いをご覧ください。
ファクタリングより先に使える公的制度 — 順番を間違えない
手数料のかかる資金化は、公的な制度を確かめたあとの選択肢です。リスケ中は特に、支出を減らす・後ろにずらす打ち手の方が計画との相性が良い場面があります。次の順番で検討してください。
国税の支払いが苦しいなら換価の猶予が先
国税を一度に納められないとき、申請により「換価の猶予」を受けられる場合があります。認められると財産の差押えや換価(売却)が猶予され、猶予期間中の延滞税も免除または軽減されます(国税庁No.9206「国税を期限内に納付できないとき」)。追加の資金は入りませんが、手数料を払わずに資金繰りの山を越えられる可能性があります。
換価の猶予の要件と期間(国税庁「猶予の申請の手引」)
要件は5つです。①国税を一度に納付することで事業の継続または生活の維持を困難にするおそれがある ②納税について誠実な意思がある ③猶予を受けようとする国税以外の国税の滞納がない ④納付すべき国税の納期限から6か月以内に換価の猶予申請書を所轄の税務署へ提出している ⑤原則として猶予を受ける金額に相当する担保を提供する。ただし猶予額が100万円以下、猶予期間が3か月以内、担保を提供できない特別の事情がある場合は担保は不要です。猶予期間は1年の範囲内で、完納できないやむを得ない理由があると認められれば当初の期間と合わせて最長2年以内まで延長が認められることがあります。猶予された国税は原則として猶予期間中の各月に分割して納付します。出典: 国税庁「猶予の申請の手引」
注意したいのは、申請には納期限から数えた期限があることと、すでに滞納が積み上がっている状態ではファクタリングの審査にも響くことです。滞納がある場合の扱いは税金滞納中でもファクタリングは可能かで整理しました。
計画そのものを見直すなら中小企業活性化協議会
返済の負担が重く計画の前提が崩れているなら、資金を足す前に計画を立て直す方が早い場合があります。中小企業活性化協議会は、中小企業の活性化を支援する公的機関としてすべての都道府県に設置され、全国各地の商工会議所等が運営しています。相談は無料で、相談内容も申込みも秘密が守られます(中小企業庁・中小企業活性化協議会)。
| フェーズ | 支援の名称 | 何をするか |
|---|---|---|
| 収益力改善 | 収益力改善支援 | 改善アクションプランと簡易な収支・資金繰り計画を作る |
| 収益力改善 | 早期経営改善計画策定支援 | 資金計画・ビジネスモデル俯瞰図・アクションプランを作る |
| 再生 | プレ再生支援・再生支援 | 事業面・財務面の改善を図る再生支援を実施する |
| 再生 | 経営改善計画策定支援 | 金融支援を伴う本格的な経営改善計画を作る |
| 再チャレンジ | 再チャレンジ支援 | 再生が極めて難しい場合や保証債務の整理を支援する |
協議会の前身は2003年に創設された中小企業再生支援協議会で、2022年3月4日に公表された「中小企業活性化パッケージ」により経営改善支援センターと統合され、現在の体制になりました(中小企業庁)。ただし、民事再生・破産等を申し立て済みの会社は支援の対象になりません。申立て済みの場合でも、保証人が保証債務の整理について相談することは可能です。法的手続との関係は民事再生・会社更生手続中のファクタリング利用の可否も参考にしてください。
計画づくりの費用は3分の2が補助される
経営改善計画を専門家と作る費用は、補助の対象になります。経営改善計画策定支援(405事業)は、金融支援を伴う本格的な経営改善が必要な中小企業・小規模事業者を対象に、国が認定した認定経営革新等支援機関へ支払う費用の3分の2を中小企業活性化協議会が負担する制度です。
| 補助対象の費用 | 補助率と上限 | 備考 |
|---|---|---|
| 調査分析・計画策定支援の費用 | 3分の2(上限200万円) | 現状分析から計画とアクションプランまで |
| 伴走支援(モニタリング)の費用 | 3分の2(上限100万円) | 計画内容に応じた期間、支援機関が伴走 |
| 金融機関交渉の費用 | 3分の2(上限10万円) | 経営者保証の解除を目指す計画の場合(任意) |
上限額と補助率の出典は中小企業庁「経営改善計画策定支援」です。金融支援を伴わない段階であれば、早期経営改善計画策定支援(バリューアップ支援事業)でも専門家への支払い費用の3分の2が補助されます(中小企業庁「早期経営改善計画策定支援」)。計画と資金繰りの組み立て方は経営改善計画書とファクタリングで詳しく扱っています。
メインバンクにどう説明するか — 隠す設計にしない
リスケに応じた金融機関は、自社の資金繰りを継続的に見ている債権者です。ファクタリングの利用を伏せる前提で設計すると、後から判明したときに失う信用の方が大きくなります。「融資が通らなくなる」と「まったく影響しない」は、どちらも公的な裏づけのない断定です。影響の有無を占うのではなく、説明できる形にしておくことを基準に考えてください。
金融機関が気にするのは「返済原資」と「計画との整合」
金融機関の関心は、ファクタリングを使ったという事実そのものよりも、それが返済原資と計画にどう跳ね返るかにあります。具体的には次の4点です。
- 売掛金が先に資金化され、将来の返済原資が薄くならないか
- 手数料の負担で、計画の利益水準から下振れしないか
- 計画に織り込まれていない資金需要が出ていないか
- 反復利用で、資金化しなければ回らない構造になっていないか
金融庁は2025年6月30日に「金融機関における粉飾等予兆管理態勢の高度化に向けたモニタリングレポート(2025)」を公表し、融資先の不適切な会計処理や不正行為の予兆を把握する態勢の充実・強化を金融機関に促しています(金融庁)。決算書の見え方を取り繕う方向に労力を使うより、使った理由と効果を自分の言葉で説明できる状態を作る方が安全です。
決算書にはこう現れる(会計上は負債に出ないが、読む人は読む)
ファクタリングは借入ではないので、貸借対照表の負債には計上されません。一方、取引の痕跡は複数の場所に残ります。「負債に出ないから見えない」と「帳簿に出なくても見抜かれる」は専門家の間でも見方が分かれる論点なので、両方を前提に備えるのが現実的です。
| 見られる場所 | どう現れるか |
|---|---|
| 損益計算書 | 手数料が営業外費用や支払手数料として計上される |
| 貸借対照表 | 売掛金が減り現預金が増える(負債は増えない) |
| キャッシュフロー計算書 | 営業活動の内訳で売上債権の減少として現れる |
| 月次試算表・資金繰り表 | 入金サイクルの前倒しと手数料の支出が見える |
| 債権譲渡登記 | 登記された場合、譲渡の事実は第三者も確認できる |
なお、ファクタリングの手数料は金銭債権の譲渡の対価として消費税が非課税です(消費税法6条1項・別表第二第2号。国税庁タックスアンサーNo.6201)。見積書で手数料に消費税が上乗せされていたら、非課税取引の扱いを誤っている疑いがあるため確認してください。
事前に伝えるかどうかの目安
すべての取引を事前に報告する必要はありません。金額と頻度、計画への影響度で切り分けると判断しやすくなります。
| 自社の状況 | 伝え方の目安 |
|---|---|
| 計画に織り込んだ範囲の、単発・小口の資金化 | 次回の進捗報告であわせて説明する |
| 月商に対して大きい金額の資金化 | 実行前に用途と返済原資への影響を相談する |
| 債権譲渡登記を伴う契約 | 実行前に相談する(譲渡の事実は確認されうる) |
| 継続的・反復的に使う見込み | 計画の見直しとセットで協議する |
伝える順番と言い方はメインバンクへの事前報告タイミングに具体例をまとめています。将来の融資再開を見据えるなら、取引銀行の信用枠を温存するファクタリング戦略も合わせて読んでください。
債権譲渡登記は金融機関から「どこまで」見えるのか
「登記は誰でも閲覧できるから売掛先にも銀行にも全部わかる」という説明は正確ではありません。証明書の種類によって、請求できる人と記載される範囲が違います。
誰でも取れる証明書に売掛先の名前は載らない
| 証明書の種類 | 請求できる人 | 債務者(売掛先)の名称 |
|---|---|---|
| 登記事項概要証明書 | 誰でも請求できる | 記載されない |
| 概要記録事項証明書 | 誰でも請求できる | 記載されない |
| 登記事項証明書 | 当事者・当該債権の債務者その他の利害関係人 | 記載される |
区分の出典は法務省「債権譲渡登記」です。つまり第三者が確認できるのは「債権譲渡が行われた事実」までで、どの売掛先の債権かまでは当事者や利害関係人に限られます。「登記したら取引先にすぐ知られる」わけではありませんが、「譲渡の事実は隠せない」というのが正確な理解です。
登記は完済しても自動では消えない
債権譲渡登記の存続期間は、債務者を特定する登記で最長50年、特定しない登記で10年です(動産債権譲渡特例法8条3項。e-Gov法令検索)。抹消は、譲渡の無効や取消しによる失効、債権の消滅などを事由として、譲渡人と譲受人が申請します(同法10条)。利用者が単独で消せるものではなく、支払いが終われば自動的に消えるものでもありません。
費用は登録免許税で、譲渡する債権が5,000個以下なら7,500円、5,000個を超えると15,000円です。抹消登記は1,000円、存続期間の延長は3,000円です(法務省「債権譲渡登記の登録免許税」)。これに司法書士報酬が加わるため、見積もりは登記費用を含む総額で比べてください。登記の有無が気になる場合はファクタリングの債権譲渡登記とはで回避方法まで確認できます。
なお、売掛先との契約に譲渡を制限する取り決めがあっても、民法466条2項により債権譲渡そのものは有効です。ただし3項により、制限を知っていた(または重大な過失で知らなかった)譲受人に対しては、売掛先が支払いを拒めます(e-Gov法令検索・民法)。契約書に譲渡制限の条項がある場合は、ファクタリング会社にその条項を見せて可否を確認するのが安全です。
使ってよい場面・使ってはいけない場面
判断軸は「資金が必要になるまでの時間的猶予」と「許容できるコスト」の2つです。猶予があるなら公的制度や条件変更の再交渉が先、猶予がないならファクタリングという順番になります。
使ってよい場面
- 計画の達成が見込める中での、一時的な入金と支払のズレ
- 大型受注の入金待ちで、短期のつなぎ資金が必要なとき
- 仕入代金や給与の支払期日が迫り、数日で資金が要るとき
- 手数料を上回る利益や機会損失の回避が見込めるとき
- 売掛先の承諾が得られ、3社間で条件を抑えられるとき
使ってはいけない場面
- 恒常的な赤字の穴埋めに充てるとき
- 別のファクタリングの支払い原資にするとき
- 税金・社会保険料の滞納が既に積み上がっているとき
- 経営改善計画が未策定で、計画外の資金繰りになるとき
- 毎月続けないと回らない状態になっているとき
反復利用が不利になりやすいことは、当サイトの掲載データにも表れています。小口で繰り返すほど条件が厳しくなりやすい、というのが供給側の実態です。
使うべきか迷う段階なら、ファクタリング利用前の3問チェックで自己点検してから進めてください。計画の見通しが立たない段階での判断材料は廃業を考える前に検討するファクタリング活用法と限界にもあります。
契約前に確認する9項目
リスケ中は「他で借りられない」状況が相手に伝わりやすく、条件が不利になりやすい立場です。口頭の説明ではなく、見積書と契約書の文面で次の9項目を確認してください。
| 確認項目 | どこで確認するか | OKの目安 |
|---|---|---|
| 1. 手数料の総額と内訳 | 見積書 | 事務手数料・登記費用を含む総額が出る |
| 2. 手数料への消費税の有無 | 見積書 | 手数料に消費税が上乗せされていない |
| 3. 償還請求権(買戻し)の有無 | 契約書 | 売掛先が払わない場合の負担が明記される |
| 4. 分割での支払いを求められないか | 契約書 | 一括の債権売買として完結している |
| 5. 債権譲渡登記の要否と費用 | 見積書・契約書 | 登記の有無・留保の条件・総額が明確 |
| 6. 担保・経営者保証を求められないか | 契約書 | 担保や保証の差入れが条件になっていない |
| 7. 入金日と資金化までの日数 | 見積書 | 支払期日に間に合う日程が書面で示される |
| 8. 売掛先への連絡・通知の条件 | 契約書 | どんな場合に通知するかが限定的に明記 |
| 9. 相見積もりの比較 | 2社以上の見積書 | 同じ債権・同じ期日で総額を比べられる |
3社間を先に検討する(手数料は209社の実データで見る)
一般に2社間は3社間より手数料が高くなる傾向があります。売掛先の承諾が得られるなら、3社間を先に検討した方が負担を抑えやすいはずです。業界の相場として流通している「2社間は何%から何%」という数値には公的な統計がないため、当サイトでは掲載209社の手数料帯の分布だけを使います。
- 低手数料帯64社
- 標準手数料帯84社
- 高手数料帯51社
- 未設定(非公表)10社
低手数料帯は上限平均2%程度、標準手数料帯は上限平均5%程度、高手数料帯は上限平均20%程度です。低手数料帯64社と標準手数料帯84社を合わせると、上限5%以下の帯に約7割が入ります(合計は低64社・標準84社・高51社・未設定10社の209社)。手数料帯ごとの口コミ平均評価は低・標準・高のいずれも4.3で横並びでした。高い手数料を払えば満足度が上がるわけではないため、相見積もりで総額を比べる価値があります。帯ごとの掲載社は高手数料帯のファクタリング会社から確認できます。
急ぐ必要が本当にあるかも確認してください。掲載209社の入金スピードは、即日が128社(61.2%)、最短2時間が13社、翌日以降が58社、未設定が10社です。数日の猶予があるなら、選べる会社の幅も条件も変わります。
「他で借りられない」状況を狙う業者を見分ける
金融庁は、ファクタリング業者から受け取る買取代金が債権額に比べて著しく低額であるケースは偽装ファクタリングの疑いがあるとしています。また、譲渡した債権の集金が売主に委託されていて、集金できなかった場合に売主が債権を買い戻す、あるいは売主自身の資金で業者に支払うこととされている取引は、貸金業に該当するおそれがあると示しています(金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」)。貸金業の登録がないまま営業した場合は、貸金業法11条1項違反として同法47条2号により10年以下の拘禁刑もしくは3,000万円以下の罰金(併科あり)が定められています(e-Gov法令検索・貸金業法)。
契約前に、次の点を見積書と契約書の文面で確認してください。上の3つは金融庁が例として挙げるもの、下の3つは合わせて見ておきたい点です。
- 買取代金が債権額に比べて著しく低額である
- 集金できなかった場合に自社が債権を買い戻すとされている
- 自社の資金で業者に支払う形になっている
- 担保や経営者保証の差入れを条件にされている
- 分割での支払いを求められる
- 「審査は通る」と無条件に約束する広告を出している
なお金融庁は、貸金業に該当するかどうかは契約書にノンリコース(売却した売掛債権が回収不能になっても売主に返済義務は生じないこと)の規定があるかといった形式的な要素だけでなく、経済的側面や実態に照らして判断されるとしています(金融庁)。「契約書にノンリコースと書いてあるから安全」とは言い切れないため、手数料の水準と回収の取り決めをセットで見てください。
高額な手数料については、金融庁も「多重債務防止のための注意喚起(高額な手数料によるファクタリングの利用に関する注意喚起)」で、債権を担保とした違法な貸付け事案に注意を促しています(金融庁)。見分け方の詳細は違法ファクタリング業者の見分け方にチェックリストがあります。信用情報に不安がある場合の可否はブラックリストでも使えるかを参照してください。
よくある質問
リスケ中にファクタリングを使うと、取引銀行に知られますか
知られる経路は限られますが、隠し通せる前提で設計しない方が安全です。債権譲渡登記をしない契約なら金融機関が直接確認する経路は限定されます。一方で、損益計算書の手数料、貸借対照表の売掛金の減少、月次試算表や資金繰り表の提出を通じて読み取られる可能性があります。登記をした場合、譲渡の事実は第三者も証明書で確認できる点に注意してください。
リスケ中でも個人事業主はファクタリングを使えますか
使えます。個人事業主の場合、リスケに相当するのは事業性融資の条件変更です。ファクタリングは借入ではないため、法人と同じく債権譲渡として契約できます。ただし、個人保証付きの法人融資の条件変更で代表者個人の信用情報に記録が残っている場合は、別の場面で影響が出ることがあります。少額の資金化に対応する会社は掲載209社のうち17社と限られるため、早めに候補を絞ってください。
リスケ中のファクタリングは経営改善計画にどう影響しますか
計画に織り込んでいれば影響は限定的で、織り込んでいない継続利用は計画の達成度を下げます。手数料は営業外費用や支払手数料として利益を削るため、計画の利益水準から下振れする要因になります。計画の見直しが必要な段階なら、中小企業活性化協議会に相談し、計画策定の費用補助も合わせて検討してください。
税金を滞納している状態でも使えますか
契約自体はできても、審査では不利に働きます。滞納があると税務署による売掛金の差押えの可能性が出てくるためです。滞納処分の差押えと債権譲渡のどちらが優先するかは、譲渡の対抗要件を備えた時点と差押通知書が売掛先に届いた時点の先後で決まります(国税徴収法62条。e-Gov法令検索)。まず換価の猶予など猶予の制度を検討するのが順番です。
ファクタリングの利用履歴は信用情報に残りますか
残りません。ファクタリングは融資ではないため、信用情報機関への照会・登録は原則として行われません。ただし「信用情報に載らないから審査がない」という意味ではなく、売掛先の信用力と取引の実在は審査されます。「審査が不要」と訴求する業者には注意してください。
関連記事
- ファクタリングとは(基礎知識のハブ)
- 経営改善計画書とファクタリング
- メインバンクへの事前報告タイミング
- ファクタリングの債権譲渡登記とは
- 税金滞納中でもファクタリングは可能か
- 個人信用情報と審査への影響
- ブラックリストでも使えるか
- 廃業を考える前に検討するファクタリング活用法と限界
- 民事再生・会社更生手続中のファクタリング利用の可否
- 開業直後・設立3ヶ月でファクタリングは使えるか
- 創業1年未満のファクタリング利用
- 口コミ調査の方法と開示
まとめ
銀行融資のリスケ中でも、ファクタリングは借入ではなく債権の売買なので原則として利用できます。ただし先に確認したい制度があり、国税の支払いが苦しいなら換価の猶予、計画の前提が崩れているなら中小企業活性化協議会への相談、計画づくりの費用が重いなら経営改善計画策定支援という順番になります。使うと決めたら、用途を短期のつなぎに限定し、売掛先の承諾が取れるなら3社間を優先し、見積もりは総額で2社以上を比べてください。取引銀行には、計画への影響を自分の言葉で説明できる状態を作っておくことが、将来の融資再開を考えるうえで有利に働きます。最適な選択は資金繰りの状況・売掛先・金額によって変わります。会社の比較は高手数料帯のファクタリング会社から、計画面の相談は公的窓口から始めてください。