ブラックリストでも使えるファクタリングの仕組みと限界
信用情報に事故情報が登録されている状態(いわゆるブラックリスト)でもファクタリングが利用できる理由、審査の仕組み、断られるケースを整理します。
「ブラックリストに載っている」と表現される状態の事業者にとって、銀行融資・ビジネスローン・クレジットカードは利用が難しくなります。一方、ファクタリングは「借入ではなく債権譲渡」という法的位置づけのため、信用情報の事故情報があっても利用できる場合があります。当サイトはファクタリング約209社を第三者の立場で比較し、利用者401人への口コミ調査(2026年3月実施)を運営しています。本記事を読み終えるころには、事故情報があっても利用できる理由、それでも断られるケース、避けるべき業者の見分け方が判断できるようになります。基本的な仕組みはファクタリングとはを確認してください。
「ブラックリスト」の正体
正式名称は「信用情報の事故情報」
「ブラックリスト」という名前のリストは実在しません。一般的にこの言葉は、信用情報機関(CIC、JICC、KSC)に登録された「事故情報」(異動情報)を指します。事故情報の代表例は次のとおりです。
- 61日以上または3ヶ月以上の延滞(CICで「異動」として記録)
- 代位弁済(保証会社による代理返済の発生)
- 債務整理(任意整理・個人再生・自己破産)
- 強制解約
信用情報の保有期間
| 事故情報の種類 | 保有期間(一般的な目安) |
|---|---|
| 61日以上の延滞 | 完済から5年間程度 |
| 代位弁済 | 5年間程度 |
| 任意整理 | 5年間程度 |
| 個人再生・自己破産 | 5〜7年間程度 |
保有期間は信用情報機関によって異なります。CIC・JICCでは契約終了後おおむね5年です。全国銀行個人信用情報センター(KSC)は、官報に載る自己破産・個人再生の情報を決定日から7年間保有します(2022年11月に、従来の10年から7年へ短縮されました)。このため、自己破産・個人再生の情報が消えるまでの目安は、機関により5〜7年となります。「10年」という数字は短縮前の旧い基準です。
事故情報が登録されている期間は、銀行融資・カードローン・住宅ローン・クレジットカードなどの新規申込が原則として通らなくなります。期間経過後は記録が消えて通常の与信評価に戻ります。詳しくは個人信用情報とファクタリング審査を参照してください。
ブラックリストでもファクタリングが利用できる理由
借入ではなく債権譲渡
ファクタリングは「取引先への請求で確定した売掛金(売掛債権)を、ファクタリング会社が事業者から買い取る」取引です。事業者から見ると、自社の資産(売掛金)を売却して現金化する流れであり、ファクタリング会社からの借入ではありません。借入ではないため、銀行融資のような個人信用情報の照会は基本的に行われません。
審査の主軸は売掛先の信用力
ファクタリング会社が確認するのは「売掛先が支払期日どおりに代金を支払う見込み(支払能力)があるか」です。利用者自身の財務状態は副次的な確認項目にとどまり、銀行融資のように利用者の返済能力を厳しく審査するわけではありません。ただし、審査そのものがないわけではなく、売掛先の実在性や請求内容の確認は行われます。売掛先が上場企業・公的機関・大手企業などで支払能力が高ければ、利用者がブラックリスト状態でも審査を通過する事例が多くあります。
| 確認項目 | 銀行融資 | ファクタリング |
|---|---|---|
| 個人信用情報の照会 | 必須 | 原則なし |
| 主な審査対象 | 利用者の返済能力 | 売掛先の支払能力 |
| ブラックリスト時の対応 | 原則謝絶 | 原則影響なし |
ブラックリスト状態でも断られるケース
事故情報以外の要因
ファクタリング自体は信用情報を見ませんが、申込者側の別の要因で断られるケースは現実に存在します。
- 税金・社会保険料の滞納(差押え発動時に売掛債権が対象になる)
- 売掛債権の二重譲渡や不正請求書の利用履歴
- 過去にファクタリング会社との回収トラブルがある
- 売掛先の信用力が低い、または取引履歴が短い
- 支払期日が大幅に先の請求書は敬遠されやすい(許容される期間は業者により異なる)
業者ごとの審査方針の違い
業者によっては、ブラックリスト状態の利用者に対して手数料を高めに設定したり、3社間ファクタリング(売掛先に債権譲渡を通知して同意を得る方式)を推奨したり、初回取引時の上限額を絞ったりすることがあります。複数業者で事前相談し、自社の状況に合った業者を選ぶ流れが現実的です。
ブラックリスト時のファクタリングが向く場面・向かない場面
向く場面
- 過去の延滞・債務整理から立ち直り、事業を再構築している
- 売掛先が上場企業・公的機関などで信用力が高い
- 短期の資金繋ぎが必要で、銀行融資の選択肢がない
- 大型受注の入金待ちで、運転資金が一時的に不足
向かない場面
- 事業継続性に深刻な問題があり、再生計画も未策定
- 恒常的にファクタリングを使い続ける構造
- 税金滞納が累積し、差押え予告が届いている
- 売掛先の信用力が低く、取引履歴も短い
ブラックリスト時のファクタリング利用の注意点
手数料の上振れに注意する
ブラックリスト状態の利用者に対しては、業者がリスクを見込んで手数料を高めに設定することがあります。当サイトが掲載する209社の手数料帯を集計すると、内訳は次のとおりで、約7割にあたる148社が上限5%以下の帯に収まっていました。
| 手数料帯 | 社数 | 手数料の水準(帯ごとの平均) |
|---|---|---|
| 低手数料帯 | 64社 | 上限は平均2%程度 |
| 標準手数料帯 | 84社 | 上限は平均5%程度 |
| 高手数料帯 | 51社 | 上限は平均20%程度 |
| 手数料非公表 | 10社 | 公表なし |
一般に、2社間ファクタリング(売掛先に知らせず、利用者とファクタリング会社の2者で契約する方式)は、3社間より手数料が高くなる傾向があります。手数料率はそのまま年率とは比較できませんが、短期の取引では年率に換算すると高い水準になりやすい点に注意し、複数社で見積もりを取って相場から大きく外れた条件を避けることが大切です。
悪質業者の標的になりやすい層
ブラックリスト状態の事業者は「他で借りられない」状況に置かれやすく、悪質業者の標的になりやすい層です。ファクタリングを装いながら、実質は無登録の貸付け(ヤミ金)というケースがあります。申込前に、次のようなサインがないかを確認してください。
- 「ブラックでも審査に通る」など審査通過を確約するかのように訴求する
- ファクタリングと言いながら買戻し義務や自己資金での支払いを求める
- 手数料や実質的な負担が、年率換算で著しく高い
- 契約書を渡さない、会社の所在地や登録情報があいまい
金融庁は、買戻し条件が付くなど経済的に貸付けと同様の機能を持つファクタリングは、貸金業に該当するおそれがあると注意喚起しています(出典: 金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」)。また給与を対象とする「給与ファクタリング」については、最高裁が令和5年2月20日の決定で、貸金業法・出資法上の「貸付け」に当たると判断しました(出典: 最高裁令和5年2月20日決定(裁判所HP))。判断に迷うときは違法ファクタリング業者の見分け方も参照してください。
「ブラックリスト解除」を謳う業者への警戒
「信用情報のブラックリストを解除します」と持ちかける業者には近づかないでください。信用情報機関の事故情報は、本人が返済を終えて所定の保有期間が経過すると抹消される仕組みで、第三者が手数料を取って「解除」できるものではありません。そのため「解除」をうたう勧誘は、詐欺や別の高利貸付へ誘導する手口である可能性が高いといえます。
よくある質問
自己破産歴があってもファクタリングは使えますか
自己破産自体はファクタリング審査の対象ではないため、原則として利用可能です。ただし、自己破産後に事業を再開して間もない場合、売掛先との取引履歴が短い・財務基盤が弱いといった別の要因で審査が厳格化される傾向があります。売掛先が安定している案件を優先的に対象にすると通りやすくなります。
債務整理中でもファクタリングは使えますか
任意整理・個人再生・自己破産の手続中でも、ファクタリングを利用できる場合があります。ただし、手続の種類によって財産の処分に制約がかかることがあるため、依頼している弁護士・司法書士に事前に確認するのが安全です。とくに個人再生・自己破産では、手続の前後に行った売掛債権の譲渡が、裁判所が関与する手続の中で否認(あとから効力を否定されること)の対象になりうる場合があります。自己判断で進めず、代理人と相談しながら手続きを進めてください。
ブラックリストでも信用情報の確認はゼロですか
ファクタリング会社は信用情報機関への加盟自体がほぼないため、CIC・JICC・KSCへの照会はされません。一方、業者によっては独自のデータベースで「過去にファクタリング業者とのトラブル履歴」を確認することはあります。これは信用情報機関のブラックリストとは別の仕組みです。
ファクタリングを使うと信用情報に記録され、さらにブラック状態が悪化しますか
いいえ。ファクタリングは融資ではなく売掛債権の譲渡(売買)であり、利用したこと自体が信用情報機関(CIC・JICC・KSC)に登録されることはありません。ファクタリング会社の多くはこれらの信用情報機関に加盟していないため、利用しても新たな事故情報が記録され、いわゆるブラック状態が重くなることはありません。返済を伴う借入ではないので、返済の遅れが履歴に残る余地もありません。
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まとめ
「ブラックリスト」と呼ばれる信用情報の事故情報があっても、ファクタリングは借入ではなく債権譲渡という構造のため、原則として利用可能です。審査の主軸は売掛先の信用力にあり、利用者の信用情報は原則として照会されず、財務状態は副次的な確認項目に留まります。一方、税金滞納・売掛先の信用力低下といった別要因で断られるケースもあるため、業者選びと申込前の準備が通過率を左右します。悪質業者の標的になりやすい層でもあるため、複数業者で相見積もりを取って相場感を把握するのが現実的な使い方です。実際の業者比較は、掲載社の約7割が収まる低手数料帯・標準手数料帯のファクタリング会社一覧から確認できます。