ファクタリングの弁護士相談|頼むべき場面・できること・費用
ファクタリングのトラブルで弁護士に頼むべきなのは、取引が貸付けに当たる疑いがあるとき、取立てが激しいとき、期日に払えないときの3つです。弁護士にできること、貸金業法21条の取立て規制、費用の決まり方(見積書と委任契約書)、法テラスの無料相談と立替え、相談先の連絡先を一次資料で整理しました。
「返済日に払えないと言ったら、取引先に連絡すると言われた」「手数料が高すぎる気がするけれど、弁護士に頼むほどのことなのか」。トラブルになったとき、誰にどこまで頼めばよいか分からず、1人で抱える経営者は少なくありません。
先にお伝えすると、弁護士に頼むべきなのは、取引が貸付けに当たる疑いがあるとき、取立てが激しいとき、期日に払えないときの3つの場面です。費用には公的な相場がなく、弁護士ごとに決まるため、見積書と委任契約書で確かめるのが基本になります。
この記事では、場面ごとに弁護士ができること、取立ての法律上の決まり、費用の決まり方、法テラスの無料相談と立替え、相談先の連絡先を、法令と公的機関の資料で整理します。読み終えるころには、今の状況でまず電話する先と、相談に持っていく資料が決まるはずです。
結論:弁護士に頼むべきなのは「貸付けの疑い・激しい取立て・払えない」の3場面
相手との交渉や裁判の代理は、原則として弁護士の仕事です。弁護士法72条は、弁護士でない者が報酬を得る目的で法律事件の代理や和解などを扱うことを業とすることを禁じており(弁護士法第72条)、公的な相談窓口は助言や窓口の案内までになります。次の表で、今の状況がどの場面に当たるかを確かめてください。
| 場面 | まず確かめること | 弁護士に頼むとできること | 先に電話できる窓口 |
|---|---|---|---|
| 取引が貸付けに当たる疑いがある | 契約書に買戻しや立替払いの条項があるか | 取引の性質を判断し、契約の無効や返金を主張する | 金融庁 金融サービス利用者相談室 |
| 取立てが激しい | 電話の日時・番号・内容の記録 | 業者に書面で通知し、窓口を弁護士に一本化する | 警察相談専用電話 #9110 |
| 期日に払えない | 売掛先が払わないのか、入金分を使ったのか | 支払い方法を交渉し、刑事責任の主張にも対応する | 法テラス・サポートダイヤル |
当サイトはファクタリング会社の掲載209社を第三者の立場で比較しているメディアで、法律事務所ではありません。そのため特定の事務所は紹介せず、どの場面で何を確かめ、どの窓口を使うかの判断材料に絞ってお伝えします。
場面1:取引が「貸付け」に当たる疑いがあるとき
ファクタリングは法的には債権の売買ですが、金融庁は、売主(利用者)が債権を買い戻すことになっている、集金できなかったときに売主自身の資金で業者に払うことになっている、といった取引は貸金業に該当するおそれがあるとしています。その判断は契約書の形式ではなく、経済的側面や実態に照らして行われます(金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」)。
貸付けに当たる取引なら、民事と刑事の両面で扱いが変わります。金融庁は年109.5%を超える利息の契約は消費貸借契約自体が無効と説明し、日本弁護士連合会は手数料を年利に換算して年15〜20%を超える部分は利息制限法で無効になると指摘しています。無登録で貸金業を行えば10年以下の拘禁刑などの対象です(貸金業法第47条)。
裁判所がどこで線を引いてきたかは、ファクタリングはやばい?危ない3つの正体と契約前の見分け方で金融庁が紹介する裁判例7件を表にしています。契約書の条項を自分で読み比べたうえで、弁護士に取引の性質を判断してもらうのが近道です。
場面2:取立てが激しいとき
貸金業法21条1項は、貸金業を営む者が取立てで人を威迫したり、私生活や業務の平穏を害したりすることを禁じています(貸金業法第21条)。違反すれば2年以下の拘禁刑などの対象です。
| 貸金業法21条1項で禁じられる主な言動 | 号 |
|---|---|
| 正当な理由なく、勤務先など居宅以外の場所に電話をかけたり訪問したりする | 3号 |
| 借入れの事実など私生活に関する事実を、本人以外の人に明らかにする | 5号 |
| 本人以外の人に、代わりに払うよう求める | 7号 |
| 弁護士・司法書士に処理を委託したと書面で通知されたあと、正当な理由なく本人に直接請求する(直接しないよう求められたのに続ける) | 9号 |
この規制は貸金業を営む者の取立てが対象なので、取引が貸付けに当たるかどうかが前提になります。脅しや暴力的な取立てがあれば、取引の性質とは関係なく警察に相談してください。金融庁も、権利の実行でも社会通念上許される程度を超えれば恐喝罪や脅迫罪が成立しうるという最高裁判所の判例(昭和27年5月20日判決)を引いて、警察への相談を案内しています。
電話の日時・番号・話の内容、メールやSNSのやり取りは、消さずに残しておきましょう。弁護士や警察に相談するときの、いちばんの材料になります。
場面3:期日に払えないとき
払えない理由が「売掛先が払ってくれない」のか「入金されたお金を使ってしまった」のかで、取るべき手が変わります。
| 払えない理由 | 通常のファクタリングでの扱い | 弁護士に相談するポイント |
|---|---|---|
| 売掛先が払わない(倒産・支払遅延など) | 回収義務は事業者にあり、利用者に買戻しや補償は求められない(大阪府) | 買戻しや支払いを求められたら、取引が貸付けに当たる疑いがある(場面1) |
| 2社間で、売掛先から入ったお金を渡さずに使った | 契約違反になり、契約の形によっては横領罪(刑法252条・253条)に問われる可能性がある | 別の業者から借りて穴埋めする前に、支払い方法の交渉を相談する |
大阪府は、通常のファクタリングでは期日に売掛先が払わなかった場合の回収義務はファクタリング事業者にあると説明しています(大阪府「違法なファクタリングについて」・2017年4月18日更新)。入金分を使ってしまった場合も、業者から「刑事告訴する」と言われて慌てて別の業者から借りると、負担が重なるだけです。詳しくはファクタリング後の横領罪リスクと回収トラブル対処をご覧ください。
落ち着いてから資金繰りを立て直すときは、掲載209社を手数料帯・入金スピード・口コミ評価で比べるから、条件を見比べて選び直してください。
弁護士に頼むと何をしてもらえるか:相談から解決までの流れ
| 段階 | 弁護士がすること | 依頼者がすること |
|---|---|---|
| 1 相談 | 契約書と経緯から、取引の性質と取れる手を説明する | 契約書・見積書・通帳・やり取りの記録を持参する |
| 2 委任 | 報酬と費用を説明し、委任契約書を作る | 依頼する範囲と費用を確かめて契約する |
| 3 通知・交渉 | 業者に受任を書面で知らせ、窓口を弁護士に移して交渉する | 業者と直接やり取りせず、連絡は弁護士に回す |
| 4 和解・裁判 | 支払い方法・返金・契約の無効を、和解か裁判で決める | 和解の条件を弁護士と確かめる |
| 5 刑事手続き | 脅迫・恐喝・無登録営業などの疑いがあれば、告訴や被害届を支援する | 警察への相談の記録を弁護士に共有する |
司法書士も、法務大臣の認定を受けた司法書士であれば、紛争の目的の価額が140万円以下の民事紛争について相談に応じ、裁判外の和解を代理できます(司法書士法第3条)。金額が140万円を超える場合や、刑事の対応を含む場合は弁護士に相談してください。
費用は「相場」ではなく、見積書と委任契約書で確かめる
日本弁護士連合会は、弁護士の費用は個々の弁護士がその基準を定めることになっており、標準小売価格のようなものはないと説明しています(日本弁護士連合会「弁護士費用(報酬)とは」)。ネットで見かける「着手金◯万円が相場」という数字が、自分の事件の費用に当てはまるとは限りません。
費用の種類
| 費用の種類 | 支払う時期と性質 |
|---|---|
| 法律相談料 | 相談したときに払う |
| 着手金 | 依頼した段階で払い、結果が不成功でも返らない |
| 報酬金 | 成功の度合いに応じて事件の終了時に払い、まったく不成功なら払わない |
| 実費・日当 | 印紙代・郵便切手代などの実費と、出張の交通費・日当 |
見積書と委任契約書で確かめること
日弁連の弁護士の報酬に関する規程(平成16年4月1日施行)は、弁護士に報酬の基準を作って事務所に備え置くこと、依頼しようとする人から申出があれば報酬見積書の作成と交付に努めること、受任するときに報酬と費用を説明することを求めています。受任したときに作る委任契約書には、依頼する範囲、報酬の種類・金額・算定方法・支払時期、途中で解除できること、途中で終わったときの清算方法を書くことになっています。
- 費用は業者1社ごとか、まとめてか
- 交渉だけか、裁判になったときも含むか
- 報酬金は何を基準に計算するか
- 実費・日当・追加費用が出るのはどんなときか
- 分割払いや後払いに応じてもらえるか
まず弁護士の意見を聞きたいときは、日弁連のひまわりお悩み110番(0570-783-110)にかけると、近くの弁護士会の法律相談センターにつながる仕組みです。日弁連の案内では、相談時間はおおむね30分、相談料は地域や内容により異なり5,500円前後です。
費用を払う余裕がないとき:法テラスの無料相談と立替え
無料法律相談と、弁護士費用の立替え
| 制度 | 内容 | 条件 |
|---|---|---|
| 無料法律相談 | 弁護士・司法書士に無料で相談できる。同一の問題につき3回まで | 収入(手取りの平均月収)と資産(現金・預貯金)が一定基準以下 |
| 費用の立替え | 依頼するときの弁護士・司法書士の費用を立て替え、分割で返す。利息はない | 収入・資産の基準、勝訴の見込みがないとはいえないこと、民事法律扶助の趣旨に適すること。審査がある |
まずはサポートダイヤルで窓口を確かめる
法テラス・サポートダイヤル(0570-078374・平日9時〜21時、土曜9時〜17時、祝日・年末年始を除く)では、オペレーターが状況に合う法制度や相談窓口を案内します。個別の法律相談は受けないので、そのうえで法テラスの無料法律相談や費用の立替制度を使えるかを確かめてください。収入と資産の基準は、住んでいる地域や家族の人数で変わります。
弁護士を選ぶときに確かめること
初回の相談で聞いておきたい4点
- 同じような取引(2社間・偽装の疑い)の相談を受けたことがあるか
- 自分の契約が貸付けに当たりうるか、どの条項を見てそう考えるか
- 交渉で終わる見込みか、裁判になりうるか
- 費用の見積書を出してもらえるか
「全額取り戻せる」「すぐに終わる」と結果を約束する説明には注意してください。取引の性質や証拠によって結果は変わるので、見通しと費用を書面で示してくれるかどうかを判断材料にするのが安全です。
相談の前にそろえる資料
| 資料 | 何を見るためか |
|---|---|
| 契約書・見積書 | 買戻し・立替払い・保証の条項と、手数料の中身 |
| 契約時に業者へ渡した書類の控え | 債権譲渡通知書・印鑑証明書など、何を預けたか |
| 売掛金の請求書 | 売った債権の金額と支払期日 |
| 通帳の記録 | 買取代金の入金と、業者への送金の日付・金額 |
| やり取りの記録 | 電話の日時・番号・内容、メール・SNSの履歴 |
| 業者の情報 | 会社名・所在地・担当者名・連絡先 |
あわせて、いつ・どの業者と・いくらで契約し、いくら払ったかを日付順に1枚のメモにしておくと、短い相談時間でも状況が伝わります。
相談先の早見表:弁護士・警察・公的窓口の使い分け
| 相談先 | 主な役割 | 連絡先 |
|---|---|---|
| 法テラス・サポートダイヤル | 状況に合う法制度・相談窓口の案内 | 0570-078374(平日9時〜21時、土曜9時〜17時) |
| ひまわりお悩み110番(日弁連) | 近くの弁護士会の法律相談センターにつなぐ | 0570-783-110 |
| 金融庁 金融サービス利用者相談室 | 貸金業に当たる疑いのある取引の相談・情報提供 | 0570-016811(平日10時〜17時) |
| 日本貸金業協会 貸金業相談・紛争解決センター | 貸金業者との紛争・ヤミ金融の相談 | 0570-051-051 |
| 警察相談専用電話 | 脅迫や暴力的な取立ての相談 | #9110 |
| 消費者ホットライン | 契約トラブルの相談と窓口の案内 | 188 |
弁護士は契約の無効や返金、支払い方法といった民事の交渉を、警察は脅迫や恐喝などの犯罪を扱います。取立てが怖いときは両方に並行して相談してかまいません。窓口の一覧と返金の請求はファクタリング被害に遭った場合の相談窓口と返金請求でも整理しています。
よくある質問
ファクタリングのトラブルを弁護士に頼むと、費用はいくらかかりますか?
公的な相場はありません。日本弁護士連合会は、弁護士の費用は個々の弁護士が基準を定めるもので、標準小売価格のようなものはないと説明しています。依頼する前に見積書を求め、委任契約書で依頼の範囲と報酬の種類・金額・支払時期を確かめてください。
弁護士への相談は無料でできますか?
条件を満たせば無料で相談できます。法テラスの無料法律相談は、収入と資産が一定基準以下の人が、同一の問題につき3回まで利用できます。弁護士会の法律相談センター(ひまわりお悩み110番 0570-783-110)は、日弁連の案内で30分5,500円前後です。
弁護士に頼めば、取立ては止まりますか?
取引が貸付けに当たる場合は、弁護士や司法書士から書面で通知されたあとに正当な理由なく本人へ直接請求することが、貸金業法21条1項9号で禁じられています。取引が債権の売買として扱われる場合はこの規定の対象ではありませんが、窓口を弁護士に一本化すれば直接のやり取りは減らせます。脅しや暴力があれば警察に相談してください。
支払った手数料は返ってきますか?
取引が貸付けに当たると判断されれば、返還を求められる余地があります。金融庁は年109.5%を超える利息の契約は消費貸借契約自体が無効と説明し、日本弁護士連合会は年15〜20%を超える部分は利息制限法で無効になると指摘しています。返るかどうかと金額は契約の中身と証拠で変わるので、弁護士に個別に判断してもらってください。
ファクタリングで期日に払えないときは、どうすればいいですか?
まず、払えない理由が売掛先の不払いか、入金分を使ってしまったかを分けてください。売掛先の不払いなら、通常のファクタリングでは回収義務は事業者にあり、買戻しを求められたら貸付けの疑いがあります。入金分を使ってしまったなら、別の業者で穴埋めする前に、期日の前に業者へ連絡し、弁護士に支払い方法の交渉を相談してください。
司法書士にも頼めますか?
頼めます。法務大臣の認定を受けた司法書士は、紛争の目的の価額が140万円以下の民事紛争について、相談に応じ、裁判外の和解を代理できます。140万円を超える場合や刑事の対応を含む場合は、弁護士に相談してください。
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まとめ
ファクタリングのトラブルで弁護士に頼むべきなのは、取引が貸付けに当たる疑いがあるとき、取立てが激しいとき、期日に払えないときの3つです。費用には公的な相場がないので見積書と委任契約書で確かめ、払う余裕がなければ法テラスの無料相談と立替えを確かめてください。
トラブルが落ち着き、正規の会社で資金繰りを立て直すときは、標準手数料帯(上限の平均5%)のファクタリング会社を一覧で見るから、契約書と見積書を確かめたうえで比べてください。