ファクタリングの審査基準|会社が見る7つのポイントと理由
ファクタリングの審査の中心は、利用者の返す力ではなく売掛金と売掛先です。売掛先の信用力・取引の履歴・売掛金の実在と二重譲渡・支払期日・納税・事業の実態・反社チェックの7つが見られる理由を、民法・貸金業法・国税徴収法や法務省・国税庁の資料で整理しました。
「赤字が続いているけれど、ファクタリングの審査には通るのだろうか」「何を見られるのか分からないまま申し込むのが不安」。銀行の融資で断られた経験があると、審査という言葉だけで身構えてしまうものです。
先にお伝えすると、ファクタリングの審査の中心は、利用者の返す力ではなく、売る売掛金と売掛先です。そのうえで、売掛金を正しく売れる相手かどうかを、取引の履歴・納税・事業の実態・反社チェックで確かめられます。
この記事では、審査で見られる7つのポイントを、なぜ見られるのかという理由とあわせて、民法・貸金業法・国税徴収法や法務省・国税庁の資料で整理しました。読み終えるころには、申し込む前に何をそろえ、どこを直せばよいかが分かるはずです。
結論:審査の中心は売掛金と売掛先。利用者は「正しく売れる相手か」を見られる
金融庁は、ファクタリングを法的には債権の売買(債権譲渡)契約と説明しています(金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」)。売買である以上、会社が代金を回収する相手は売掛先なので、審査ではまず売掛先が期日に払えるか、売掛金が本当にあるかが確かめられます。利用者の財務より、売掛金の中身が重く見られるのはこのためです。
融資の審査との違い
| 項目 | 融資の審査 | ファクタリングの審査 |
|---|---|---|
| 見られる中心 | 借りる人が返せるか | 売掛先が払えるか、売掛金が実在するか |
| 信用情報機関 | 貸金業者は個人への貸付けで照会・登録する仕組みがある(貸金業法41条の35・41条の36) | 貸付けではないため、この仕組みの対象ではない |
| 担保・保証 | 求められることがある | 売買なので、本来は求められる理由がない |
| 赤字・滞納 | 返す力を見る材料になる | それだけでは決まらないが、滞納は差押えの面から確かめられる |
融資との違いを審査以外も含めて比べるならファクタリングと融資の違い|審査・スピード・コストの5軸と使い分け、仕組みそのものは請求書ファクタリングとは?仕組み・メリット・デメリットを整理をご覧ください。
ファクタリング会社が審査で見ている7つのポイント
| ポイント | 見られること | 用意するもの |
|---|---|---|
| 1 売掛先の信用力 | 期日に払える相手か | 売掛先の会社名・取引の内容 |
| 2 取引の履歴 | 取引が続き、入金が実際にあるか | 通帳のコピー・基本契約書 |
| 3 売掛金の実在と二重譲渡 | 架空の請求や、ほかの会社への売却が無いか | 請求書・発注書・納品書 |
| 4 支払期日までの期間 | 回収までにどのくらいかかるか | 支払期日が分かる請求書 |
| 5 納税の状況 | 売掛金が差し押さえられるおそれが無いか | 納税証明書 |
| 6 事業の実態 | 実際に事業をしている相手か | 登記事項証明書や開業届の写し |
| 7 反社チェックと本人確認 | 反社会的勢力との関係が無いか | 本人確認書類 |
1. 売掛先の信用力|期日に払える相手か
民法には、債権の売主が売掛先の支払い能力まで保証したときの推定の規定があります(民法569条)。裏を返せば、特約が無いかぎり売主は売掛先の支払い能力を保証しないので、売掛先が払えなかったときの損は買い手の会社が負うことになります。審査で売掛先の信用力が最も重く見られるのは、このためです。
- 売掛先の規模や業歴、支払いの遅れが無いか
- 国や自治体などの公的機関か
- 売掛先が個人の場合は、扱わない会社もある
2. 売掛先との取引履歴
同じ売掛先と継続して取引があり、過去の入金が通帳で確かめられると、売掛金が本物である裏付けになります。次の書類で取引の流れを示せれば、審査の判断材料が増えるはずです。
- 過去の入金記録(通帳コピー)
- 請求書・発注書・納品書のセット
- 基本契約書・取引基本契約
- 取引額の安定性
3. 売掛金の実在と二重譲渡の有無
請求書の金額や支払期日が、発注書・納品書・契約書と合っているかが確認の対象です。あわせて、同じ売掛金をほかの会社にも売っていないか(二重譲渡)も見られます。債権譲渡登記の「登記事項概要証明書」は誰でも請求でき、債務者名は載らないものの譲渡の登記があった事実は分かるため、過去の登記が確認されることがあります(法務省の案内)。
| 確認されること | そろえておくこと |
|---|---|
| 請求書の記載 | 発行日・宛先・金額・支払期日・請求元が書かれているか |
| ほかの書類との整合 | 発注書・納品書・契約書と金額や期日が合っているか |
| 二重譲渡の有無 | 同じ売掛金をほかの会社に売っていないか、過去の登記の抹消が済んでいるか(登記が無いことは概要証明書の「ないこと証明」で示せる) |
二重譲渡のリスクはファクタリングの二重譲渡リスク|詐欺罪・横領罪に問われる可能性と防ぎ方をご覧ください。
4. 支払期日までの期間
支払期日までが長いほど、会社が代金を回収するまでの期間が延び、その間に売掛先の状況が変わるおそれも大きくなります。期間の長さは見積もりの手数料にも影響しやすいので、複数の売掛金があるなら、支払期日の近いものから相談すると話が進めやすくなります。
5. 利用者の納税状況
国税を滞納して督促を受け、督促状を出した日から10日を過ぎても完納しないと、税務署は財産を差し押さえることになっています(国税徴収法47条1項)。売掛金が差し押さえられると会社は代金を回収できなくなるため、未納の税額が無いことの証明(国税庁の納税証明書その3)を求められることがあります。滞納があっても納付の計画を示せる場合の考え方は、税金滞納中でもファクタリングは可能か:審査への影響と注意点をご覧ください。
6. 事業の実態|実際に事業をしている相手か
架空の会社や名義を借りた取引を避けるため、事業を実際にしているかが確かめられます。次のような材料がそろっていると、判断がしやすくなります。
- 法人は登記事項証明書、個人事業主は開業届の写しや確定申告書
- 会社案内や自社のWebサイト
- 事務所の所在地と連絡先
- 業種と事業の内容
7. 反社チェックと本人確認
政府は、企業が反社会的勢力と一切の関係を持たないための指針を示しています(法務省「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針について」)。ファクタリング会社も、代表者や会社が反社会的勢力と関係しないかを確かめ、契約書に反社条項を置くのが一般的です。契約での扱いは反社条項・暴排条項の最新動向|ファクタリング契約での実装で解説しています。
会社の種類で審査の重点は変わる
銀行系・ノンバンク系・独立系、オンライン完結型など、ファクタリング会社の成り立ちによって、扱う金額や重く見る点は違います。ある会社で断られても、別の会社では通ることがあるのはこのためです。種類ごとの特徴は銀行系・ノンバンク系・独立系ファクタリングの違いで比べています。
審査の前にそろえておくもの
- 売りたい売掛金の請求書と、発注書・納品書・基本契約書
- 売掛先からの入金が分かる通帳のコピー
- 代表者や事業主の本人確認書類
- 法人は登記事項証明書と決算書、個人事業主は確定申告書
- 求められたときの納税証明書
何が必要かは会社と契約の形で変わります。立場ごとの一覧はファクタリングの必要書類|基本3点と立場別の追加書類リストで確かめてください。
事前相談での確認
申し込む前に、電話やメールで業種・金額・売掛先を伝えて、扱えるかどうかを聞いておく方法もあります。売掛先が個人の場合や、支払期日が先の売掛金の場合は、とくに先に確かめておけば無駄な申込みを減らせるでしょう。
申し込む会社の選び方
当サイトの口コミ調査(2026年3月実施・N=401)で評価4〜5をつけた330件のうち、264件(80.0%)が「必要書類が少ない・審査が柔軟」を選んだ理由に挙げています。ただ、審査の柔らかさだけで選ぶと、手数料が高くなることもあります。比べるときは、掲載209社を手数料帯・入金スピード・口コミ評価で比べるから条件を並べて見比べてください。
審査落ちした場合の対応
原因の特定
審査に落ちたときは、原因が自分で直せるもの(書類の不足・納税)か、申し込む会社を変えるべきもの(売掛先・金額・業種)かを分けて考えます。原因ごとの対処はファクタリング審査に通らない・落ちた7つの原因と次に選ぶ会社の条件にまとめています。
再申込のタイミング
原因を直さずに同じ会社へ申し込み直しても、結果は変わりにくいものです。書類をそろえ直す、納付の計画を立てるなど状況を変えてから申し込むのが現実的で、手順はファクタリング審査に落ちる原因と通過に向けた再申込の手順で説明しています。
「審査なし」「誰でも通る」とうたう業者に注意
売掛金と売掛先を確かめずにお金を渡す相手は、売買ではなく、利用者からの返済を当てにしている可能性があります。金融庁は、ファクタリングを装って貸付けを行う事案や、売主が集金できなかったときに買い戻させる取引は貸金業に当たるおそれがあると注意を呼びかけています(金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」)。審査の手軽さを強調する相手ほど、契約書の償還請求権や買戻しの条項を確かめてください。
相手が闇金かどうかの見分け方はファクタリングと闇金の違い|見分ける5つの軸と被害の相談先、契約書の読み方はファクタリング契約書の確認点|署名前に読む12の条項と危ない書き方をご覧ください。
よくある質問
赤字決算でもファクタリングは通りますか
審査の中心が売掛先にあるため、売掛先が期日に払える相手で売掛金の裏付けがそろっていれば、赤字決算でも利用できることはあります。ただし、赤字の理由や資金繰りの見通しを聞かれることもあるので、説明できるようにしておくと安心です。詳しくは赤字決算でもファクタリングは使える?審査の実態と対策をご覧ください。
個人事業主は審査が厳しくなりますか
会社によって違います。個人事業主を対象にしていない会社もあれば、少額の請求書を中心に扱う会社もあります。売掛先が法人で、請求書と入金の記録がそろっていれば、個人事業主でも審査の考え方は法人と大きく変わりません。
審査結果はどれくらいで出ますか
会社と取引の内容しだいです。当サイトに掲載している209社では、13社が「最短2時間」、128社が「即日」の入金をうたっています(2026年7月3日時点)。これは審査がすぐに終わったときの目安で、3社間や書類の追加があると日数がかかります。
ファクタリングを使うと信用情報に影響しますか?
貸金業法が定める信用情報機関への照会や登録は、貸金業者が個人に貸し付けるときの仕組みです(貸金業法41条の35・41条の36)。ファクタリングは貸付けではなく売掛金の売買なので、この仕組みの対象にはなりません。ただし、それは「審査が無い」という意味ではなく、売掛金と売掛先はしっかり確かめられます。
審査が緩いファクタリング会社はありますか?
会社ごとに重く見る点が違うだけで、正規の会社であれば売掛金と売掛先は確かめられると考えてください。断られたときは、売掛先や金額の条件が合う別の会社を探すのが近道です。「審査なし」をうたう相手は、前の章の注意点を確かめてから判断してください。
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- ファクタリング契約書の確認点|署名前に読む12の条項と危ない書き方
まとめ
ファクタリングの審査は、売掛先の信用力と売掛金の実在を中心に、取引の履歴・支払期日・納税・事業の実態・反社チェックの7つで行われます。どれも「売掛金を正しく売れる相手か」を確かめるためのもので、書類をそろえ、滞納や過去の登記を整理しておくことが近道です。条件の近い会社を比べるときは、標準手数料帯(上限の平均5%)のファクタリング会社を一覧で見るから見積もりを取り寄せてください。